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【映画の感想】『マリッジ・ストーリー』

作品名:マリッジ・ストーリー
 
 
公開日:2019年12月6日
鑑賞日:2020年1月29日
 
 
見に行ったきっかけ:友人の評判がとくによかったこと
 
 
見る前の予想:
タイトルの付け方がなんとなく嫌で見に行くのをやめていた。スカーレット・ヨハンソンにもアダム・ドライバーにも結婚にも物語にも思い入れがあるわけではなかったので見にいく理由がうすかった。
 
 
視聴直後の印象:

 
 
感想(ネタバレなし):
なにか特定の原因があってこなごなに破綻した結婚ではなく、どこかうまくいかない結婚を、お互いの人生をより良くするための手段として解消するという側面がつよい離婚なので、現実の離婚よりもどちらが悪いということや何が悪いということを言いにくい絶妙なバランスに設定されている。そこにフィクション味がないとは言えないが、俳優の演技によって実在感がきちんと感じられる、よくできた作品だと思った。
スカーレット・ヨハンソン演じるニコールが、自分の人生にベストを尽くそうとするタイプであり、しいて言えばそれが離婚の直接的な契機になっている。妥協しないで望みを高く持つこと自体は悪いことではなく良いことだし、その強すぎる思いが生活に波風を立てたとしても本人はそれを本望とする潔さもあれば対処する能力もあるので、当然、批難されるいわれはない。そもそも他人の離婚について批難することは通常考えにくいので、見ている側が感情的に対立しにくいようにできているといったほうがいいかもしれない。
最初の方にあったやりなおすきっかけをニコールが自分自身で握りつぶしてしまっていたことがわかるラストなど、うますぎる脚本で、いい意味でも悪い意味でも出来すぎているほどの出来だが、そこはアダム・ドライバースカーレット・ヨハンソンが演技によってカバーしていた。カバーしている以上の名演だったかもしれない。
人物描写については事細かに設定されていることを明らかにするようなこれ見よがしの感があったので、描写の妙というよりは設定の妙が際立っていた。東海岸の夫と西海岸の妻といういかにもという設定なのでそういうのも意図的なのだろうから自分で言いながら難癖と思えなくもない。
しかしこの映画が愛すべき作品であることに疑いの余地はなく、そうであるからこそ思ったことは言いたいと、アダム・ドライバー演じるチャーリーに影響された。何かに影響されて行動するということは自分にはよくあることだが、あのチャーリーの姿勢には誰でも影響されるのではないかと思う。それほど”ダメ出し”のシーンには迫るものがあった。チャーリーの劇団での最後のニコールの演技についての、チャーリーの”最後のダメ出し”のシーンだ。
いろいろな感情をならしてしまうことなく、それでいて悲しさにフォーカスするということができている映画だというだけで見る価値がある。いろいろなものが映り込みながら悲しさにピントが合っているのは笑えるところがあるからだと思う。
 
 
おすすめ度
ネットフリックスに登録して見るべき
 
 

 

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