だから結局

So After All

【映画の感想】IMAXレーザー(DUNE)

今回はIMAXを視聴するためにDUNEを見に行った。DUNEを見るために映画館に行ったのでもなければ、DUNEを最大限楽しむためにIMAXを選んだのでもない。IMAXレーザーを体験するのに適格だと思って、つまりIMAX浴にとってDUNEはお誂え向きの映画だろうと予想できたから映画館に行くことにした。
だから、オスカー・アイザックジョシュ・ブローリンの顔がIMAXに登場したときには嬉しいサプライズだった。ゲーム・オブ・スローンズで野蛮人ドロゴ役を演じた人らしき人もいて、エンドロールを見たらやっぱりそうだったからそれも嬉しかった。

IMAXについて、TENETでIMAXを2回見たときに確信したことがある。それは通常IMAXIMAXレーザーでクオリティが大きく違うということだ。大きい映画館の通常スクリーンと通常IMAXの差分より、通常IMAXIMAXレーザーの差分のほうが大きい。しかも後者が大きいように思えるというレベルをはるかに超えて、大差をつけてIMAXレーザーが圧倒的な映像体験になる。映像的な違いはどちらも同じぐらいというか、正直、通常スクリーンでも十分だと思う。全然違うのは音響だ。和太鼓の音のように身体の芯に響くほどの音振動が視聴体験にもたらすものは大きい。画面の大きさなどいくら大きくしたところで迫力が増えていくものでもない。真っ暗な部屋でスマホを目の前に持ってきて映画を見てもVRゴーグル的な臨場感は得られるけれども、音に関してはそうはいかない。いくら高音質なヘッドホンを装着しようと身体にダイレクトに働きかける音圧は出せない。

ナイトクラブの魅力はなんと言っても馬鹿でかいスピーカーだというのはクラブで遊ぶ人間にとっては常識である。そこでは音楽の曲というのは効果的に低音を響かせるためのツールのひとつになる。普段目的として取り扱われる音楽が手段にすぎないと気付かされるのは音楽で身体が動くときだ。音楽を手段として扱うのは音楽をないがしろにしているのではない。むしろ逆で、音楽を作品として祭り上げるのではなく、それを使って楽しくなる一道具としてみなすのは正当な取り扱いであり、そうすることで自然な敬意を持つことにつながる。当然のことながら、音楽のために生活があるのではなく、楽しい生活のために音楽がある。映画にしても同じで、映画ファンはつい忘れがちになってしまうことだが、映画を見るというのは、それが〇〇より面白いかどうかとか、△△よりもつまらないかどうかとかを確認するためではない。そういう楽しみ方があることはたしからしいが、それは映画といういちツールのごく限られた楽しみ方にしかすぎない。見たことないストーリーがあるか、感じたことのない感情を引き起こされるか、という観点にしても同じで、それもひとつの楽しみ方でしかない。陳腐なストーリーだと言って映画そのものを退屈な作品とみなすのは、とくにIMAXレーザーの視聴体験にとっては、看過できないほどマイナスの多い見方だと思う。

「現実を超える映像体験」というのはIMAXレーザーについていえば圧倒的に真だ。前から4列目〜6列目あたりの、ちょっと前目すぎるんじゃないかという席で、これはIMAXレーザーが映えそうだという映画をぜひ見てみてほしい。そうすると画面が視野からこぼれ出るけれど、IMAXレーザー向きの映画というのはつねに大事なものが真ん中に配置されるように出来ているから心配はいらない。ちなみにDUNEはIMAXレーザー向けの映画としてかなり良い線いっているのでおすすめできる。ストーリーというか、話の流れ方はテレビゲームのRPGのリアリティに近い。IMAXレーザーでみればFF23、それ以外で見ればFF18ぐらいの出来だと思う(ナンバリングが上になるほど良いという意味で言っているのでFFでは通用しなさそうな評価軸だがそれは置いておいて)。私がはじめて遊んだRPGFF6なので、砂漠世界にエドガーマッシュの兄弟を思い出したりして懐かしかったのもこの映画体験の良さに寄与していると思う。見たことないようで馴染みがあるような不思議な感覚があった。それでなくてもIMAXレーザーで見るかぎりは面白いと思う。少なくとも、ほとんどの人にとってはこれまでの体験にはない体験になるはずだ。

 

それから、IMAXレーザーといえば忘れはいけないのは映画開始直前に流れるIMAX紹介ムービーだ。針の落ちる音からのジェット機、そしてここから……。 私はあれがとても好きで、あのムービーを見るためだけに入場料を払ってもいいぐらいだと半ば以上本気で思っている。

 

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