だから結局

So After All

日記(3月13日)

今日も御茶ノ水から帰った。今通っている学校からは本郷三丁目のほうが近いのだが、本郷三丁目駅は近頃強烈な臭気に覆われており、せっかくの学校帰りに吐き気を催すのも嫌なので、遠いほうの御茶ノ水駅から丸ノ内線に乗っている。

サッカー通りから御茶ノ水駅までの5分ほどの道のりは、夕方歩くと駅に近づくにつれだんだんと人の流れができてくる。その流れのおよそ半分は地下鉄ホームへと続く階段に吸い込まれていくことになるが、階段の広さが十分ではないので階段の前、横断歩道付近でたまりができる。流れのもう半分は横断歩道を渡ってJR御茶ノ水駅へむかう。

道路の向こう側に「おちゃのみず」と書かれた看板が見える。文字に見る「御茶ノ水」と「おちゃのみず」では受ける印象がまるで異なるが、口に出してみるとどちらも同じようにふざけているように聞こえるななどとどうでもいいようなことを思う。

すでに日は沈んだあとだがまだ暗くなっていないので道行く人の表情を見ようと思えば見える。見ようと思わないので見えない。たまりになっている人たちも下を向いて歩いているというわけではないだろうが他人の顔を見たりもしないのだろう。

地下鉄御茶ノ水駅は隣駅の本郷三丁目駅とつながっている。それでこの駅のホームもいくぶん臭い。顔をしかめるほど臭くはないが、眉をひそめるほどには臭い。早く問題が解決されればいいと思うが、本郷三丁目駅の張り紙には「原因不明の異臭」という文字が見え、早期解決はのぞめなさそうだ。

電車はすぐにきて、空いている席があるので座る。銀座駅まではたしか空席もあったがいつの間にか車内に人が充満している。赤坂見附駅で降りるときには人を避けてドア口まで進まなければならないほどだった。赤坂見附ではさらにドカっと人が乗るようで、乗り込もうとする人が気合を入れて大きく息を吸い込むのがすれちがいざま見えた。

向かいの銀座線に乗り換える。空席はなく座れないが、さっき降りた丸ノ内線ほどの混雑ではないし、停まる駅も青山一丁目、外苑前、表参道だけなので気楽である。銀座線の渋谷駅は地上にホームがあるので電車が直接渋谷に乗り入れるような気がして面白い。

銀座線の改札を出て、東急の階段を降りる。岡本太郎の「明日の神話」を左手に見ながら流れに沿って進む。御茶ノ水より何等も大きく、流れも速い。早歩きのスピードを緩めないまま井の頭線の改札を通る。この改札を抜けるとはや家についたような気になる。最近ようやく井の頭線渋谷駅にもホームドアができた。