だから結局

So After All

2020-01-01から1年間の記事一覧

「則天去私」について(文学フリマ東京@エ-32)

私小説作家は、何よりも「私」というものを大事にする。私は私小説作家ではないが、何よりも私を大事にするという点で、そこらの私小説作家に対し決して遅れを取るものではないと自負している。 昔、啓発広告か何かで、利己的でマナーの心に欠ける人間を啓蒙…

遊びについて

遊びについて 幼児の遊びが一線を越えると、幼児は自らの遊びに泣かされることになる。幼児は自ら泣かされることになる方向へ向かう。遊びの領域はその延長線上に危険な領域をもつ。危険な領域がない方向に遊びはない。どの場所にいてもより危険な方向に遊び…

文学フリマに出店します

文学フリマ東京に出店することが決定した。 8月からようやく小説を書こうとしているが、まだ影も形もない。文学フリマ東京は11月22日開催。その日には今存在していない小説が存在していることになるのか。 それはわからないが、とにかく出店することは決定し…

【映画の感想】寝ても覚めても

恋は罪悪ですよ、と言った意味が今ではわかる。 昔は、そんな当たり前のことをいちいち言うのはなぜなのか疑問に思っていた。他人の恋愛観にふれる機会があるごとに、こういった罪悪感と自分の恋愛を無縁に考えている人が想像以上に多いことを知った。悪者に…

【映画の感想】もののけ姫

映画館でジブリを見ようという企画で「風の谷のナウシカ」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」「ゲド戦記」が映画館の大きなスクリーンと高機能な音響設備で見られるというので、4本とも見てきた。 「ゲド戦記」は、世評は高くないものの高校生の頃映画館で…

「同人サークル素人文学」の立ち上げについて

2020年7月9日、同人サークル素人文学を立ち上げました。 概要・活動内容は以下です。 *** ■なにをするサークルか自分が書きたい小説の完成を各々が目指す ■活動方針や頻度生活の中で執筆に当てた時間を共有するscrapboxを使用 ■どんな人に来てほしいか小説を…

サイコパスって

偽名を使うのは、サイコパスの大きな特徴の一つ 『サイコパスの真実』原田隆之 友人からサイコパスといわれたことがある。たぶん冗談なのだと思うが、それがどんな笑いどころをもつ冗談なのかわからないので、そう言われたときの困惑はそれなりにあった。ま…

【映画の感想】ムーンライト

『ムーンライト』、すごくいい映画だった。一人の人物を描写するというスタンスの映画でここまでの映画はない。3章にわかれており、人物の成長にあわせて各時期をそれぞれ別の役者が演じている。最初のシーンからカメラが人物の後ろをついていくように動く…

「書を捨てよ、町へ出よう」について

寺山修司のことが嫌いだが、それはこの言葉に代表される「話を聞いてくれる人に向かって、言わずもがなのことを言って先導しようとする姿勢」がムカつくからだ。書を持っている人は、基本的に読む人であり、人の話を聞く人だ。彼らに向かって呼びかけるのは…

ツイートしようとしたら長くなりすぎた

映画『インヒアレント・ヴァイス』を見て衝撃を受けたのがきっかけで、ピンチョンの本を読むぞと思って少しずつ読み進めていった。『重力の虹』〜『逆光』のあたりでフィクション受容全般に重大な影響を被っているのが自覚されてきたんだけど、あまりにディ…

【本のおすすめ】『息吹』テッド・チャン

最近出たビッグタイトルを読み逃していた。一度は目に入ったのに、なぜか後回しでいいかと考え、即読むということをしなかった。本当になんでなのかわからない。 「自分の愛するものから離れさせるなんて値打ちのあるものは、この世になんにもありゃしない。…

相互理解という甘言に惑わされて

世の中は甘い言葉であふれている。全品20%OFFだとか、一本ご購入でもう一本無料だとか、お金というシビアで辛い数値をマイルドにさせる局面で甘さというのは感じやすいが、シビアで即物的な領域外にも甘い言葉は埋め込まれていて、われわれを行動に誘い出す…

「最高の復讐とは、優雅な生活」とは

メメント・モリ(=死を思え)というのは、他人を特定の観想に引き込むときの常套句である。死は誰にでも平等に訪れることから、ターゲットは広く、ターゲットひとりひとりの注意も引きやすい。恋愛ドラマで主人公か相手役に死すべき運命を担わせるのは、手…

カフカ/臆断/できること・できないこと

先日、カフカの小説を読み終わった。カフカは大学時代に『城』を残して読めるものはすべて読んだ気でいたから、『城』を読み終わったときにカフカを読み終わったと思った。しかし実際には『審判』も読んでおらず、書店で『審判』を探す準備をしているうちに…

朝活が続いている

mttnysk.hatenablog.com なんと朝活が続いている。続いている以上当たり前に続いているのだが、続いていない可能性もあったわけで、それを考えると、なんと朝活が続いているという若干の驚きが混じった表現になる。とはいえ1ヶ月半ぐらいのものだが。 朝活が…

映画『音楽』を見た

大きい主語で話すなと教えられてきた。 わたしがアカデミーで習ったことは体系的なものはほとんどなく、こういう散文的な禁止項目がほとんどで、日常意識することなくあらゆる局面での選択に影響を及ぼしているほどである。きちんと勉強してこなかったことも…

だから結局

できることはなんでもしようという気分になっている。そういう時期なんだと思う。 できないことはできないのでしない。できることはできるのでする。とても単純なことのようだが、しないでいることができる、しないでいることができないという要件も加わると…

【映画の感想】1917

作品名:1917 監督:サム・メンデス 公開日:2020年2月14日 鑑賞日:2020年2月14日 見に行ったきっかけ:予告が面白そうだったので 見る前の予想:ハラハラしすぎることになってつらいかも 視聴直後の印象: 『1917』良かった。前情報は無ければ無いほど良い…

【映画の感想】ジョジョ・ラビット

作品名:ジョジョ・ラビット 監督:タイカ・ワイティティ 公開日:2020年1月17日 鑑賞日:2020年2月2日 見に行ったきっかけ: 友人の評判がよかったこと 見る前の予想: 子供が主人公だから大方感動するんだろう 視聴直後の印象: ジョジョラビット見た。ジ…

よく尊敬されようとしてしまう

何にでも線引きをせずにはいられない性格だった。高慢で、ありとあらゆるものに対して及ばない及ばないと口ずさむことで何らかのリズムをとっていた。今でもそういう傾向は色濃く残っているんだろうとは思うが、私としては、できるだけ線引きすることをやめ…

朝活のこと

朝活のこと 高校のときに部活をやめてから、あらゆる活から逃れて生きてきた。そのあいだに就活、婚活、終活、恋活、妊活と、世の中では様々な活が流行り、皆で忙しい現代人のコスプレをしているかのごとく、右も左も活活と息巻いている。それにしても妊活て…

【映画の感想】『マリッジ・ストーリー』

作品名:マリッジ・ストーリー 監督:ノア・バームバック 公開日:2019年12月6日 鑑賞日:2020年1月29日 見に行ったきっかけ:友人の評判がとくによかったこと 見る前の予想: タイトルの付け方がなんとなく嫌で見に行くのをやめていた。スカーレット・ヨハ…

オーロラのこと

オーロラというペンギンに会うためだけに変な村に出入りしていたことがある。変な電子音で会話のようなやり取りが行われるその村で、オーロラだけが本物だった。リンゴの実を拾ったのも、カブトムシを捕まえたのも、よくわからない海の魚を釣り集めたのも、…

【映画の感想】『パラサイト』

作品名:パラサイト 半地下の家族 監督:ポン・ジュノ 公開日:2019年12月27日 鑑賞日:2020年1月14日 見に行ったきっかけ: TOHOシネマズ新宿のポスター、パルム・ドール関連のネット記事を見て。 見る前の予想: ソン・ガンホが出る韓国映画なんだったらど…